美しいということ。taidan.
つきないおはなしのゆくすえ・・・
sei :
空間が創りだす美しさについてもこだわりがあると思うのですが、いかがでしょう?
tomoyuki :
こだわりですか?あるのかな…
ただ、空間はデザインという観点だけでレイアウトしても美しいとは思わないことがあります。
写真は、四角い枠の中にすべてを入れてしまったら何も想像は出来ない。
ひとことで言うと記録の写真ですね。記録には想像は不必要ですからね。
だから考えぬかれて創られた空間の写真は美しいのだと思います。
実際撮るのは難しいですけどね。
sei :
「考えぬかれて創られた空間」につながっている何か別のこだわりもありそうですね。
tomoyuki :
こだわりがないのがこだわりと言ったらダメですか?
構図に凝ったり、逆に素直にそのまま撮ったりとその場の感性を大事にしています。
その感性が受け入れられるかは別ですがね。
ファインダーを覗きながら、ピタッと決まる場所が見つからない時は、
被写体が良くても撮らないときが多いです。
だから、デジカメとか携帯で写真撮るのは苦手なんです。
四角い世界以外の周りの景色が目に入ってきてしまいますから。
sei : 写人として感性を磨くために心がけていること、気になります。
tomoyuki :
写真集や他の人撮ったの写真を観るだけでなく、映画や小説、
音楽に美術館などジャンルにこだわらずいろいろな物を見たり聞いたりして
感性に磨きをかけるよう…にしていきたいですね。
sei :
ここ最近、最も心に残っている映画、小説、音楽、美術館etc...をひとつだけ教えて下さい。
tomoyuki :
ひとつも無いです。というのは無しですよね?
最近は…ほんと感性を磨く時間を取ってこなかったという…
写人にあるまじき生活をしてきてしまったんです。
あえて言うなら、映画ではないですが昨年の大河ドラマ『龍馬伝』ですね。
あの、あえて画像を荒くしたり、変化にとんだ構図での撮影等々・・・
ストーリーや演技だけでなく、すべてにおいて刺激をうけました。
ちょっと前だと『深夜食堂』…これもドラマだ。
数年前に見た『ニライカナイからの手紙』とか、
『かもめ食堂・めがね』の荻上 直子さんの作品とか好きですね。
音楽はマイケル…MJで決まりでしょう。
sei :
ちなみに、忘れられない美しい一冊ってどんな本でしょう?
tomoyuki :
石川県の写真家、桝野正博さんの写真集「あめつちのしづかなる日」を初めて見たときは衝撃でした。
CDケースサイズの小さな本の中の写真達は、自分がこういう写真が撮りたいと夢見ていたそのもの…
いやそれ以上だったのです。この写真集を見ていると写真熱が沸騰して撮りたくなるんですよ。
だから、いまでも迷った時にはこの本を開いては、写真熱を復活させています。
私にとっての栄養ドリンクみたいな本です。
sei :
桝野正博さんの作品集は、写真に寄り添う美しい言葉が大切な役割を担っているような気がします。
tomoyukiさんのフォトブログ、as is...の写真とタイトルのハーモニーにいつも釘付けなのですが、
絵と文字のかかわり合い方についての考えをお聞かせ下さい。
tomoyuki :
今のブログは、今までのブログと違い、説明を極力なくして
シンプルに、写真を見てもらいたいと思って始めました。
恥ずかしながら、その時の気持ちで浮かんだ言葉やタイトルをつけています。
写真を見てくれた人それぞれに、ストーリーを創ってもらえればいいのですが、
少しだけ自分の気持ちをそのストーリーに足してもらえるように…
隠し味というかスパイスみたいなものかな。
でも、枡野さんみたいに書けたら一番なんですけど。
sei :
ご自身のポートレートに、今の気持ちで浮かんだ言葉でタイトルをつけるとしたら何でしょう?
tomoyuki :
これは…すごい悩む質問だ。
「永久に未完成フォトグラファー」
~もし間違って完成した時には、写真を撮るのをやめるでしょう~ってどうですか?
sei :
まかり間違って完成してしまったとき、いったいどんなことが起こりえたのだと想像しますか?
また、「完成した」tomoyukiさんの作品には、世界を変えるパワーがあると思いますか?
tomoyuki :
完成=写真に対して、すべて自分の力を出し切ったと思った時だと思っています。
だから、作品がどうのというのでは無いのかな。
それと世界を変えるパワーなんて無いと断言できます。
変える必要も無いと思っています。
tomoyukiさんの、こころのおくそこに
ちょっとだけ、たどりつけたしゅんかん。
- FIN -
sei@せかいをかえるって_なんだろう?
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tomoyuki さん
きょうは、いったい
なにを語ってくれるのでしょう。
sei :
「美」という漢字は「羊」と「大」が合わさって完成している。
羊は献物として奉られることから、犠牲の動物という意味が含まれており
美しいということばには、「大いなる犠牲」という真意が在るそうです。
tomoyuki さんの仰る影の部分が、この大いなる犠牲のイメージと重なりました。
tomoyuki :
美は大いなる犠牲ですか?驚きましたが、そうかもしれませんね。
最近は、太陽の光を取りいれて、女性が撮る
雑貨や料理の素敵な写真が、雑誌などで使われいますよね。
そういう“明”な写真も好きな私ですが、
綺麗な写真として感じとっている面からすれば当たっていますね。
逆に”暗”の部分には惹かれるものがあるので、そういう意味では美しいとなる。
この、美=大きな羊=大いなる犠牲という話は面白い。
sei :
どこまでも美しき写真家と聞いてどのようなイメージを描きますか?
tomoyuki :
どこかいつまでも純粋な子供の心をもっている人かなぁ。
時代に流されない自分のスタイルを持っているとか…
あと、シャッターチャンスがむこうから来てしまう感じ?
それと、その人が撮ったというだけでどんな写真でも素晴らしく見えてしまう、ですかね。
梅佳代さんとかアラーキーさんのことなんですがね。
sei :
自我を貫きとおせる純粋な子供の心を持つ写真家、仰るとおり惹かれます。
自分自身の流れを創ることで、シャッターチャンスが空から舞い降りてきそうな気もしますね。
純度100%の目線で、写人・tomoyuki s+yle を、生涯をかけて
納得ゆくまで極めぬいてくれるはず、そう信じております!
tomoyuki :
生涯をかけてですか???…息切れしない程度に頑張りますね。
なんせ、飽き性な性格。ここまで写真が続いているのが不思議なくらいですから。
sei :
最高のシャッターチャンスと言えば、あの銀世界の中の柿の木の目の前にして、
どのような感情を抱き、そしてどこにいちばん惚れられたのでしょう?
tomoyuki :
あの写真を撮ったのは雪景色を撮りに出かけた帰り道だったと思います。
時折吹雪く天候で、思うような写真も撮れないし寒いしで、早々に車に乗って帰っていたのですが、
柿の木のある交差点で信号待ちしていたとき、ふと木を見た瞬間頭の中に
「撮らないといけない」という感情と、出来上がった絵がうかんだのです。
家の近所ということもあり、たびたび見ていたこの木。
秋にも青空の下、実が木いっぱいになっている様子を撮ったのですが、
それは単に絵的に面白いと思って撮っただけ。
田園の中の道路脇に一本だけポツンと立っている景色はいいモデルさんですから。
でも、この時は今撮らないといけないという気持ちから撮った…
考えてみると自分にとってのシャッターチャンスだったんでしょうね。
sei :
いつごろから、何をきっかけにこのような衝動に駆られるようになったのでしょう?
tomoyuki :
何年前か忘れたのですが、お盆に実家に帰ったとき
親から一年前に統廃合で閉校した母校の小学校を壊していると聞かされた時、
今撮らないともう二度とこの学校は見れないと強く思った…これが最初なのかもしれません。
翌朝、夜明け直後にその学校に行き4分の1ぐらいだけになった壊された校舎を撮りました。
柿の木も今年、熊被害対策として枝が切られてしまって、最近柿の木自体も無くなってしました。
あの風景は2度と撮れなくなったわけです。
sei :
どこかしら完璧でない、儚き美しさを放っているからこそ目に焼きついてくるのかも・・・
美しさの在り方について考えさせられますね。
逆に、撮りたくて撮りすごしてしまったけれど、もう二度と撮れないものってありますか?
tomoyuki :
すいません。柿の木はまだ存在してました。ただ枝はほとんどありませんでしたが。
撮りすごしはもう、数えきれないほどありますね。
移動中の外の景色など、時間がない時に限って美しいのです。
ただの運のない男かもしれませんね。
sei :
求める全てをフィルムに収めてしまったら、写人は撮ることをやめてしまうのかも知れないですね。
手に入らなかったもの、一瞬で消え去ってしまったものは
永遠というカテゴリーの中で美しさを保ち続けるような気がします。
tomoyuki さんの頭の中のフィルムに今も鮮明に残っている
永遠に美しき人物をひとりだけそっと教えて下さい。
tomoyuki :
“そっと”って…書いたらバレちゃいますよ。
変な汗が出てきましたから、これは内緒ということにしましょう。
そっと。へんなあせ。ないしょのはなし。
2がつ26にち、どようびが、たのしみ。
dear readers,
tomoyukiさんとの語らい。
こちらにて、つづきます。
sei :
fukuis+yle のコンセプト、デザインを思い巡らせていたとき
頭のどまんなかにあったのは、福井に根付いている古く新しき美意識を
私なりに汲み取ってみたい、という強い思いでした。
柿の木の写真と、tomoyuki さんが小原で撮影された作品を目にしたとき
頭の中でふんわりイメージしていた、伝えたいと思っていた美意識を
具体的に写真を通じて感じとれた、そんな気持ちになりました。
tomoyuki さんの、心に響く作品たちに出逢えたからこそ
美しさを伝える道筋のひとつとして写真の可能性を確信できたと思うし
フォトグラフィー+マガジン=「フォトジン」として
美しい一冊を創る、そう心に決めることができたのかも・・・
こうしてかたちになった fukuis+yle の創刊!
大きな意識の入れ替えが始まっているいるような気がしてます。
主観的に、客観的に、いまの心境はいかがでしょう?
tomoyuki :
実は、かなり落ち着いているというのが本音ですね。
出来たばかりの fukuis+yle をもらった時も、冷静でした。
写真がどんな色合いや濃さで印刷されてきたかチェックしてましたし。
seiさん的には、興奮してほしかったでしょう?
ただ、seiさんと同じように意識の変革が始まってしまったのは確かです。
それが良かったのか悪かったのか…今はまだわからないけれど。
sei :
どのような種類の「意識の変革」だと感じてますか?
tomoyuki :
いままでは、写真を撮るのが好きな ”写真愛好家” で、
好きなとき好きなように撮っていれば良かったし満足していました。
しかし、こうして本になって多数の方に見てもらうとなったときに、
このままではダメだという気持ちが大きくなったのです。
もっと写真にたいして、強い意思をもって向かおうと。
でも、それはいままでの撮影スタイルを変えるという訳ではなく、
気持ちの面で意識が変わったのです。
sei :
高みを目指す写真家にとって、「強い意志」をもって向かわせてくれる
被写体とはどんなものなのでしょう?
tomoyuki :
今は、人物ですね。
今までは人物を撮るといっても、身内や友人など自分の事をわかっている人でした。
たまにイベントなどでも撮らせてもらいましたが、それはその様子を収めるため
遠くから撮っていたので、一種の風景写真なのかもしれません。
それが fukuist で写真を撮らせてもらうようになって、
取材という形ですがモデルとして撮るという難しさを知りました。
表情やしぐさを観察して、その人の魅力の部分を撮るには
気の持ち方や接し方が重要だとわかりました。
今は試行錯誤しながら苦しんでますが、
いつか楽しんで撮れるようになりたいですね。
sei :
ポートレートは生き写し。相手の呼吸を意識して、より深く
コミュニケーションをとってゆくことが求められるのでしょうか。
一方的な欲望だけではなく、被写体と対話する過程において
大切なのはやはり「強い意思」なのかもと改めて感じました。
そして、その強い意志=自分のスタイルを見いだしたときに、
初めて心から楽しんで撮れるようになるのかなと思いました。
これから先、トモユキさんの作品がどのような変化を遂げてゆくのか、
じっくり追わせて頂きたいと思っております!
tomoyuki :
ありがとうございます。気長にお付き合いください。
まだまだ、はてしなく、つづきます。
2がつ19にち、どようびが、たのしみ。
dear all,
paris で おもいがけず ...
fukuis+yle vol.1 に であえる ところ 。
みなさま おまち いたして おります 。
しょっぷ : Ofr.Librairie, galerie
あどれす : 20, rue Dupetit-Thouars (Carreau du Temple) 75003 Paris
ちかてつ : Temple, Between République and rue de Bretagne
おーぷん : 7 days a week Monday to Saturday from 10 to 8, Sunday from 2 to 7
うぇぶ : http://www.ofrsystem.com/librairie
Many thanks, dear Marie!
sei@あなたは_ぼくらの_たからもの
Dearest everyone who love fukuist,
fukuis+yle vol.1にてー
『楽しいがいっぱい!オランダ・パスカルさん家の手づくり生活』の“どくしゃぷれぜんと”にもご協力頂き、
日本語と英語で読み応えのあるページを執筆して下さいましたオランダ在住の北ヒーリングス優美さん。
彼女からこんなスイートなお便りを頂戴致しましたので、みなさまにご紹介致したく。
才扇さま
クリスマスカード、いただきました!
素敵なカードをどうもありがとうございます!
先日、パスカルに渡したのですが、
「きれいー!素敵なデザイン!」
と大感激して、まじまじと見てましたよ。
fukuis+yle のタイトルの細工も感動してました。
日本の雑誌は、情報過多で、頭がくらくらするところがありますが、
fukuis+yle は、間に美を感じる、和的であり、また洗練されたデザインですよね。
行間を読む、そして空間に意味を見出す可能性がありますね。
ヨーロッパのミュージアムショップに売っているような感じの冊子です。
素敵です。
寒い中、ホワイトクリスマスを楽しみましょう。
時間があれば、オランダにも来てくださいね。
まさみいつも心がぽぉっとあったまるお言葉、どうもありがとうございます~嬉!
sei@なみだ_とまらず_
北さんたちのユニットDriehoek (ドゥリーフック)の阪戸美穂さんー福井出身ーがデザインされた
『ベルリン、私のインテリア』が、オランダ版と同じくエディション・ドゥ・パリより出版されたそうです・祝!
発売を記念して写真展&ブックフェアも開催中とのこと、お江戸にお立ち寄りの際には是非ぜひ。
TSUTAYA TOKYO ROPPONGI :~ 1/10
LIBRO AOYAMA : 1/10 ~ 2/20
I wish you all a lovely Christmas time at Home-Sweet-Home!
Lots of love xxx
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